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<<   作成日時 : 2008/05/14 17:42   >>

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在、世界の高速鉄道で最高速度300km/hの営業運転を行っている国は9カ国(フランス・日本・ドイツ・スペイン・ベルギー・イギリス・韓国・イタリア・台湾)に及び、さらに300km/hを超える高速域で運転しているのは、最高速度320km/hのフランス東ヨーロッパ線が今ところ唯一の営業例だ。
画像 それらの世界の高速鉄道が居並ぶ中で、日本の新幹線にとってライバルでもあるフランス国鉄(SNCF)の高速列車・TGVが、2007年4月3日に574.8km/hの鉄軌道世界最速記録を達成し、スピード世界一の座を揺るぎないものとしている。
 そうした中で日本は、高速営業運転でTGVに後れを取りながらも、2010年度末に予定されている東北新幹線の青森(新青森)延伸を機にJR東日本は、このほど同新幹線の営業運転における最高速度を現在の275km/hから、国内最速の320km/hに引き上げる方針を明らかにした。この実現が成れば、新幹線の最高速度が更新されるのは、1997(平成9)年に300km/hに引き上げられた東海道・山陽新幹線(JR東海・JR西日本)以来となる。
 このJR東日本の最高速度の引き上げは、東京〜新青森間の所要時間をほぼ3時間以内に収めることで、従来から盛岡以北において対航空輸送シェアで優勢を保ち続けている現状に、さらに水をあけようとするのが狙いのようである。

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幹線の最高速度は、現時点では、先に述べた東海道・山陽新幹線(相互に直通運転を行っている)の山陽区間における300km/hが最速である。これに対してJR東日本は、2005年に360km/hの世界最速の営業運転を技術目標に掲げ、次世代新幹線車両の導入を図るため高速試験車両「ファスティック360」を開発して、走行試験を重ねてきた。ちなみに、これまでの走行試験の中で398km/hの高速度を記録し、360km/h運転に対する安全・技術の面で確信を得たとしている。

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 しかし、騒音に対する環境面での対策が難航し、トンネルへ高速度で進入するときに発生する「微気圧波」(空気が高速で圧縮された際に生じる衝撃波)による騒音レベルが目標基準をクリアできていないのだ。そのためJR東日本では、試験走行で得られた騒音対策・架線耐久性・非常制動距離などの諸データを検討した結果から、2010年度の新青森延伸時における営業運転の最高速度は320km/hが最適であるとの判断をしたという。
 ただ、当初目標とした360km/hの営業運転に向けては、将来的な課題として引き続き開発・研究を続けながら、新青森延伸開業後に段階的に最高速度のアップを図っていく方針を固めたという。

のほど、JR東日本が東北新幹線の最高速度を320km/hとする背景には、共に高速輸送機関としてライバル関係にある、前述の航空との激しい利用者争奪戦がある。
 国土交通省によれば、所要時間が3時間以内なら新幹線、それを超えれば航空機を選ぶという利用者の傾向が顕著で、所要“3時間”が陸・空の分かれ目であるという。現在、東京〜青森間の所要時間は、新幹線併用でも八戸で在来線への乗り換えが必要となることから、最速でも3時間59分を要する。3時間が陸・空の分かれ目とするならば、さらに新幹線利用者の獲得を高めるには東京〜新青森間を3時間で結ぶ必要がある。
 現在の東北新幹線は最高速度275km/hで運転されているが、延伸される東京〜新青森間(約675q)を現行の最高速度275km/hのままで結ぶと、3時間20分程度を要すると見られている。これを、320km/h(最高速度)に引き上げて結べばほぼ3時間(現行に比べ約1時間短縮)に収まる見込みで、JR東日本が多額の事業資金を投入してまで最高速度320km/hの営業運転に踏み切ろうとするのは、この20分を縮める必要性の事情があるからだ。
 JR東日本では、今秋以降にも、最高速度320km/hの走行性能を持つ新型の営業用新幹線車両の設計に着手するという。

R東海やJR西日本が、新幹線のさらなる高速化へ向けた技術開発にしのぎを削っていた中で、JR東日本はどちらかと言えば、これまでは通勤利用に重点を置いて2階建て車両を充実させるなど、主に輸送力アップ重視(路線の特質上)に推移してきたといえる。その一方で、最高速度は275km/hに止まっていた。

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 ところが、速達化に対しても積極的に視点を移す転機が、2002(平成14)年12月の東北新幹線八戸延伸によって訪れた。東京〜八戸間は、従来は盛岡での在来線乗換を要して3時間半かかっていたが、新幹線が八戸へ延伸したことで3時間を切った。その結果、東京〜青森間の対航空の輸送シェアは、延伸前の新幹線43:航空57(2001年度)から、延伸3年後(2005年度)には同68:32へと大きく逆転を果たしたのだ。
 その延長線上で東北新幹線の対航空の輸送シェアを推測すれば、東京〜新青森間の新幹線直通化は同区間を3時間で結ぶこととなり、航空をさらに引き離すことが確実視できるのだ。さらに、航空と互角のシェアを競っている新在直通の秋田新幹線にとっても、時間短縮は対航空に優勢をもたらしてくれることだろう。
 ちなみに西日本方面への新幹線の対航空輸送シェア(2005年度)を見ると、東京〜大阪方面では新幹線65:航空35、東京〜広島・岡山方面では同52:48と新幹線がやや優勢だが、800q圏を超えるあたりから形勢の逆転を示し、東京〜博多方面に至っては同7:93と航空利用が圧倒的となる。
 ただ、高速輸送機関同士のシェア争いは、アクセス、サービス(快適性)、利便性、料金などの要素が絡み、単に高速化(速達化)一極志向に止まるものではない。

速化が距離を時間的感覚へ変える近代、さらに高速化へ向け、ドイツが最高速度330km/h運転へ、スペインが同350km/h運転へ、日本とフランスもそれぞれ同360km/h運転へ向け研究・開発に着手している。そして、JR東海が次世代超高速大量輸送システムとして開発を進めている超電導磁気浮上式の分野では、試験走行で581km/hの高速世界記録を出す(2003年)など東京〜大阪間を1時間で結ぶ超高速輸送の実用化へ向け実験走行が続くが、その超電導リニアモーターカーによる新幹線が実現する見通しとなったのだ。

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 2007年4月にJR東海は、首都圏〜中京圏〜近畿圏を結ぶ新たな新幹線(中央新幹線)の計画を発表した。その第一段階として、首都圏と中京圏とを結ぶリニア新幹線計画を、2025年の開業を目標に推進していくとしている。首都圏〜中京圏間約290qの所要時間は、現在の最短1時間35分から半分の48分(最高速度500km/h)になるという。
 今、航空網が世界を席巻する下で、高速大量輸送機関としての鉄道はその特質を最大限に活かすべく、さらに高速化へ向けその追求の歩みを止めることはないであろう。 (終)

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