本格化始動 ~リニア中央新幹線

リニア中央新幹線  ・  ・  ・
―☆ JR東海は2013年6月3日に山梨リニア実験センター(山梨県都留市)において、2027年に先行(部分)開業を目指すリニア中央新幹線の「L0系」営業線運転仕様車両(中間車両連結の5両編成)を初公開した。実際の営業運行時には、12両編成(全長299㍍・定員728人)により運転されるという。

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               〈 公開された中央新幹線営業線運転仕様車両「L0系」・山梨リニア実験センター 2013.6.3 〉
 これに先立ちJR東海は、山梨リニア実験線で現在行われている同実験線の延伸工事や設備更新などの工事が順調に進んでいることから、2013年度末としていた走行試験再開の当初予定を前倒して新たに延伸された山梨リニア実験線(42.8km…トンネル区間35.5km・明かり区間7.3km)でL0系を使った本格的走行試験を2013年9月から再開することを同年4月17日に発表した。いよいよリニア中央新幹線は、2027年の先行営業運転開始に向けその第一歩となる最高速度505km/hの下で、長距離走行や長大トンネルの走行など実用化を意図した各種確認試験をスタートさせる。ちなみにリニア中央新幹線の速達度は、2045年の全線開業時には東京と大阪の間を最高速度505km/hで走り、同区間を最速67分で結ぶ。2027年に先行開業する品川~名古屋間は、最速40分で結ばれる。また、駅の設置については、品川、名古屋、新大阪のターミナル駅と、神奈川、山梨、長野、岐阜、三重、奈良の各県に1駅ずつ中間駅が設けられる。 
 (・路線の名称について…リニア中央新幹線は、これもその一つだが、一般にさまざまな名称で呼ばれているが、国の整備計画および建設・営業主体のJR東海の定めに基づく『中央新幹線』が正式名称である)

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                         〈 山梨リニア実験センター・山梨県都留市 〉
―☆ 営業線運転仕様車両(L0系)による本格的な走行試験が、この秋(2013)から山梨実験線で始まるリニア中央新幹線。同じ頃に、先行開業区間(品川~名古屋)の路線ルートに対する沿線の環境影響評価が終わる予定で、ルートや中間駅の建設地が確定を見る。その結果を待って、ルートとなる路線の建設着工が来年度(2014年度)中には開始の見込みという。
画像 今(2013.5~)、リニア中央新幹線の中間駅の建設地確定を前にして、品川~名古屋間の山梨、長野、岐阜の中間駅(地上駅)建設に関して、ルートとなる県や自治体を対象にJR東海による説明会が展開されている。この地元説明会においてJR東海は、リニア中央新幹線は全車両が指定席設定で完全予約制のためチケット不要の新たな販売制度を開発する必要から、駅設備については大胆に効率性と機能性を徹底して追求していくとして、駅構成のシンプル化を図りコンパクトな駅を目指すことを強調した。
 しかし、JR東海が発表(2013.5.13)した設置する中間駅の概要に対しては、関連の県・自治体・地元住民などから困惑や失望とともに、一様に憤りにも似た不満や反発の声が挙がっている。その先には、切符の売り場や待合室、売店などを造らず、トイレやベンチ、エスカレーターなど必要最小限の駅設備に止めるといった、JR東海が発表した従来の新幹線駅のイメージとは大きくかけ離れた新幹線駅の姿がある。
 中央新幹線推進本部では、お客様には発車時刻を目安に来ていただくので敢えて待合室を造る必要はなく、もし駅に必要な施設があれば地元負担で整備してほしい、との考えを示している。この駅構成の方向性に対し、県や地元から反発や異論が相次いでいる現状(リニアが停まる場所だけ造ってやるという姿勢で、利用者を軽視している。高齢者や目の不自由な人もおり、情報格差がある。切符売り場はなければならないのでは。待つ場所もなく、鉄道施設として十分なのか…等々)についてJR東海は、柔軟な販売制度を考えて利用者には不便を来さないようにしたいとする一方で、完全予約制のため駅での切符の提供ができないのに売り場の窓口を設けても仕方がないとも述べ、新たな販売の形を推し進める考えを示した。これに対しある県の担当者は、中間駅設置に関して今回のJR東海が示された内容は最低限の駅機能を述べたもので、今後の協議のスタートと解釈している、と述べた。

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                            〈 中央新幹線中間駅イメージ 〉
―☆ リニア中央新幹線の中間駅建設を巡っては、当初、JR東海は建設を要望する地元自治体に建設費の全額負担(品川、名古屋、新大阪のターミナル駅はもともとJR東海の自社負担)を求めていた。しかし、地上駅でおよそ350億円、地下駅は2200億円という高額負担に地元からの強い反発の意思表示もあって、リニア中央新幹線の早期開業を目標に据えるJR東海としては無為に駅建設に支障を来すような事態は避けなければならず、JR東海は2011年11月に全額負担を表明して自社負担に切り替えた経緯を踏んでいる。ちなみに1964(昭和39)年に開業した東海道新幹線(当時国鉄)においては、開業当初の東京~新大阪間全12駅は国鉄側が建設している。その後、地元の要請で建設・開業した4駅(三島、新富士、掛川、三河安城)については、建設費の全額が地元自治体の負担となっている。それに倣ったわけではないだろうが、結局のところ、リニア中央新幹線全駅の建設費はJR東海の負担という結果に至った。
画像                〈 中央新幹線中間駅断面イメージ 〉
 然るに、乗降客が少ないであろう地方の駅(中間駅)におけるコストの切り詰めは必然のことで、駅設備を簡素化して運営コストを下げるのは当然の成り行きである。国土交通省では、駅として必要な施設や設備等の設置は省令で決められているとして、地元説明会でJR東海が示した駅構成のシンプル化を図るため造らないとした切符売り場や待合室も、基本的には設置が義務づけられているとする。その上で、ローカル路線(在来線)の中には切符売り場などのない駅もあることから同省の担当者は、駅の施設・設備をどの範囲まで設置するかは駅のそれぞれの事情に応じて鉄道会社にその判断が委ねられるとしている。

―☆ リニア中央新幹線の導入は、輸送力や耐用年数などが限界に近づきつつある日本最大の幹線・東海道新幹線を救える手段となり得るのか。今、リニア中央新幹線の実用化へ向けた本格的な各種確認走行試験が、2016年度までの実施予定の下にスタートが切られようとしている。その成果の判明は、建設費約9兆円をかけて2045年に開業(予定)する品川~新大阪間の輸送実績如何以降に係わる、まだまだ遠い先のことだ。
 JR東海が想定する、2045年全線開業時の列車運行の概要は、1時間あたり上下8本ずつを運行し、うち7本は中間駅を通過するタイプとし、各駅停車は1本とする計画という。大胆に効率性と機能性を徹底追求するとして建設される、第二の東海道新幹線と称されてもいるリニア中央新幹線(中央新幹線)は、果たしてこの先30年を超えてどのような全容を現してくれるのだろうか…。 (終)

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