地球温暖化へ科学が鳴らす警鐘 ・・・

      地球温暖化へ科学が鳴らす警鐘 ・ ・ ・

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          地球温暖化の抑制・安定にはCO2排出量を2050年頃には実質“ゼロ”〉にする必要がある…IPCCの指摘
・・・ 2018年の夏は暑くなると早くからの予測の通りになって、世界の各地で猛暑や日照り、豪雨などによる自然災害が頻発した。地球温暖化が危惧されている下で地球の気温は上昇を続けるばかりで、このままでは気候変動による異常気象や自然災害などの発生で世界の社会環境が危機にさらされる。そんな地球温暖化に係わり先ごろ、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が温暖化を科学的に裏付ける“特別報告書”を公表した ・・・

画像 地球温暖化に関しIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)はこのほど、地球温暖化が現状のまま進めば早ければ2030年にも世界の平均気温が産業革命前より1.5℃上昇すると表明した。IPCCは、これによる地球への影響などを「パリ協定」(2020年以降の地球温暖化対策における気候変動抑制に関する多国間の国際ルール・2016.11.4発効)に基づきまとめた、初の「特別報告書」を作成した。この特別報告書は韓国・仁川で開催(2018.10.1~5)されたIPCC総会で審議・採択され、2018年10月8日に公表された。同総会で195の国が承認した特別報告書は、今後の温暖化対策を議論する上で科学的な根拠として用いられる。
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                       韓国仁川で開催されたIPCC総会2018.10.1~5) 〉
 「パリ協定」が産業革命以降の気温の上昇を2℃未満に、できれば1.5℃までに抑制することを目標にしている途上にあって、今も上昇を続けている地球の気温をこのままに放置すれば異常気象や自然災害の頻発で世界の社会環境が脅かされるとしてまとめられた「特別報告書」は、その中で地球の気温上昇が僅か0.5℃の違いであっても地球環境へ及ぼす影響には大なる差があることを浮かび上がらせた。
画像 同報告書では、すでに世界の平均気温は産業革命前より約1℃上昇しており、これが10年間で0.2℃程度のペースで上昇(現在は0.17℃)すると現状のままでは2030年から2052年の間に世界の平均気温は2℃に達するとIPCCは予測する。ただ、先にも触れたように産業革命前より気温はすでに約1℃も上昇しており、IPCCの特別報告書が早ければ2030年にも1.5℃に達すると見ている如く地球の気温が1.5℃の上昇でも地球環境へ及ぼす影響は計り知れないくらいに多方面にわたり、異常気象による豪雨や洪水の被害、熱波や干ばつ、はたまた海面の上昇や動植物の生息域の減少などなどさまざまな影響を地球環境に及ぼす。これが2℃の上昇ともなれば、その影響は一層深刻度を増して水や食糧不足、健康問題にまでも波及し、地球へ及ぼす深刻な打撃は避けられそうにない。例えば、海水面の上昇で捉えると、1986年~2005年の水準に比べ1.5℃の上昇で海水面は2100年までに26~77㌢上昇すると予測する。2℃の上昇だと海水面はさらに10㌢高くなり、海抜ゼロメートル地帯の沿岸域では影響を受ける人々がさらに1千万人を大きく超えるであろうと捉える。こうした迫り来るであろう現実に対して、“地球の気温上昇幅は1.5℃までに抑えるべきだ”とするIPCCが公表した特別報告書を、温暖化対策へのメセージとして真剣に捉えたい。

画像 そもそもIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル・ Intergovermental Panel on Climate Change)とはどのような組織なのか、少しく触れてみる。
画像 地球温暖化を科学的に評価するために、世界の気象機関と国連の環境計画が1988(昭63)年に設立した科学的機関で、国際的な専門家でつくる地球温暖化についての科学的研究の収集・整理のための政府間機構である。1990年に、世界中の温暖化に関する研究資料を集めて評価した初のIPCCによる報告書を公表し、1992年にはこの報告書を踏まえた気候変動に関する枠組みの条約が採択され、それ以降IPCCが示す科学的根拠を基に各国が条約の枠組みに沿った温暖化対策を議論する流れが醸成されてきた。本部はスイスのジュネーブにあり、温暖化対策の評価報告書(地球温暖化に関して多くの専門家の科学的知見を集約した国際的に広く認められた報告書)が数年おきに刊行される。このほど公表された「特別報告書」は、気候変動に関する6千編以上の論文を基に100人近くの研究者が作成に当たり、今後の国際的な場で温暖化対策を議論して行く上での共通の認識として捉えられるものである。ただ、IPCCによる報告書は、最新の科学的知見に沿って示されており、政策的内容の提言は行われていない。本筋的には、温暖化対策に残されている時間はあまりないことを示すとともに、一層の同対策に対する取り組みを促す報告内容となっている。
 地球温暖化を科学的に評価するIPCCは、「パリ協定」が気温上昇を1.5℃未満に抑えることを目標として温暖化の抑制や二酸化炭素(CO2)排出量を2050年頃に実質ゼロにする温暖化対策の道筋を示しながらも、各国が掲げる温室効果ガスの排出削減目標が全て達成されても気温上昇を2℃に抑えられないのが現状の認識だとする。IPCCの今回の特別報告書を踏まえ、今年(2018)12月にポーランドで開かれるCOP24(国連気候変動枠組み条約締約国会議)で削減目標の引き上げなどさらなる温暖化対策が議論されるが、果たして温暖化抑制はどのような方向に動き出すのか注目される。ちなみにIPCCは、地球環境における温暖化問題の認知度を世界的に高めたとして、2007年に米国の元副大統領アル・ゴア氏と共にノーベル平和賞を受賞している。

画像 ここに掲げた米国ニューヨーク港内リバティ島の海中に沈むが如くに佇む“自由の女神像”(正式名称「世界を照らす自由」・台座~トーチ間高さ46.05㍍、台座を含めた全高98㍍)は、地球温暖化が進んだ場合の2140年の米国ニューヨーク港内の情景を描いた「ニューヨーク2140」と題した作品(米国人SF作家キム・スタンリー・ロビンソン作)である。この茫漠たる情景の作品は単なる科学的予測ではなく、生存危惧への対応を模索させるものである。つまり、ただの想像図ではなく、現実に起きるかも知れない事象なのである。100年後には、この情景が現実のものとなるかも知れないし、このような世界は訪れないかも知れない…、それが如実になるのか否かは私たち地球住人の行動次第と言えよう。
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                    〈 「ニューヨーク2140」(キム・スタンリー・ロビンソン米国人SF作家) 〉
 米国の科学アカデミー紀要(機関誌)の論文によると、温暖化により海氷の減少など自然界の現象が起こり始める気温の上昇には「臨界点」があり、その臨界点を超えるとさまざまな現象と連鎖して気温の上昇は続くと考えられるという。今、深刻な環境問題の1つとして世界の眼がその行く末に注がれているのが、気温上昇で年々減り続ける北極の海氷や南極の氷床である。2℃前後の気温上昇で、グリーンランドなどの氷床が溶解したり北極海の海氷が減少することで水蒸気の量が増し、それがさらに気温の上昇を進めることになる。同論文はさらに、気温の上昇幅が4℃前後になると南米の熱帯雨林が枯死して、含まれていた二酸化炭素(CO2)が大量に放出されてさらに温暖化は加速される。気温の上昇が5℃以上ともなれば、南極大陸の氷床が大量に溶け出して海水面の上昇は10~最大60㍍になる可能性があるという。先に掲げた、温暖化が進んだニューヨーク港内を描いた「ニューヨーク2140」の原風景は、それこそ“白昼夢”であって欲しい情景ではある。
 されど「パリ協定」は、気温の上昇を“2℃未満”とする達成目標を掲げるが、米国の科学アカデミー紀要の論文はパリ協定の目標が達成されたにしてもすでに地球の温暖化は始まっており、後戻りの出来ない温暖化による大きな影響が発生する可能性を否定できないと指摘する。

画像 IPCCが、上昇を続ける地球の気温をこのままにしては世界が危機に晒されるとした特別報告書をまとめたが、気候変動を科学的に検証するストックホルム大学などの国際研究チームが米国の科学アカデミー紀要に寄せた論文によると、向こう数十年で予想される温暖化によって今は人類を守っている地球の自然現象が人類の敵になる可能性があると指摘している。同国際研究チームはさらに、世界の平均気温が地球温暖化により産業革命前に比べ2℃前後上昇すると温暖化に歯止めが利かなくなり、その気温上昇幅は4~5℃に達する可能性があるとの予測をまとめている。この高い気温上昇幅は、温室化した地球を意味する「ホットハウス・アース」に移行する状況になるという論文を、米国の科学アカデミー紀要が発表している。
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                  〈 “ホットハウス・アース”…温暖化の進行に歯止めが利かなくなる現象 〉 
 温室化した地球は、熱帯雨林の縮小や北極や南極の海氷・氷床溶解の現象を促進させ、それまで貯蔵されてきたCO2が大気中に放出され始め 、温暖化の進行を促すことにつながる。同時に、温暖化の進行は海水面の上昇にもつながり、海抜ゼロ㍍地帯に寄り添う東京やオランダ、バングラデシュといった地域の海水による浸食が深刻となる。南太平洋上のエリス諸島に位置する島国のツバル国家(オセアニアにある独立国家)は、海抜が最高でも5㍍と低いため“水没”というセンセーショナルな話題を世界に投げ掛けつつも、厳しい地球環境(海面の上昇)の中で国の存在そのものが脅かされている。日本も、全方位を海に囲まれた島国で、海岸線は総延長3万5000㎞に及ぶ。沿岸の臨海市町村には、国内総人口の46%が暮らし、産業経済の77%が集中する。海岸線は、私たちの生活にとって密接な関係にあり、地球環境の保全・保護を蔑ろにすることはできない。
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                     南極の氷床が解け海水面の上昇で沈みかけているツバル
 地球の温暖化が時間単位で推移している中で、温暖化対策の国際ルールである「パリ協定」が定める気温の上昇を“2℃未満”に抑える目標を掲げるが、各国がパリ協定に基づき世界全体の年間のCO2排出量を2030年までに約45%削減(2010年比)の目標を定めてはいるが、現在の各国の削減目標を積み上げても2℃に抑えることは難しく、すでに気温の上昇は2℃を大幅に超える環境レベルに地球はあるという。各国は、今まで以上に化石燃料から再生可能エネルギーへの大転換、植林の開発促進、CO2の回収・貯留技術の実用化などを大胆に推し進めて更なるCO2削減目標を高め、2℃気温上昇抑制の実現へ向け努力すべきである。こうした状況の下で、2018年12月にポーランドで開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP24)においては、IPCCの特別報告書の分析・評価を受けてCO2削減目標の引き上げなどさらなる温暖化対策強化に向け議論が展開される。
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                        温暖化で海氷崩壊が速いペースで進む北極  
 2018年9月に米国のサンフランシスコで開催された、国際サミットとしては初めてのケースとなった「非国家」(世界の企業や自治体などの参入)による「グローバル気候行動サミット」(GCAS)で、主催したカリフォルニア州の知事(ジェリー・ブラウン氏)は「温暖化は待ってくれない。さあ行動しよう」と呼びかけている。 IPCCもまた、私たちに残されている時間はあまりないとして、温暖化対策としてこれからの数年で 何を為すべきかが地球にとって極めて重要であると強調する。果たしてCOP24(2018.12開催)においては、各国が温暖化の現状やCO2排出削減への取り組みを共有した上で、削減目標引き上げの方向に世界は大きく動き出せるのか注目したいところである。
 決して見過ごすことのできない地球の平均気温の上昇は、異常気象や自然災害を発生させるなど世界を危機に晒す。世界の195カ国が加盟し、数多くの世界の専門家が地球温暖化を分析・評価してまとめられているIPCCの報告書は世界が認める地球温暖化対策への科学的指針として評価されており、まさに地球温暖化へ科学が鳴らす警鐘として傾聴すべきものである。     (終)

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