鉄道 ~ぶらり一景

今どきの社会現象 》 ・ ・ ・
 携帯電話 は勿論のこと、近年はスマートフォン(スマホ)の普及によって、画面を見ながら路上や駅のホームを歩く人(“歩きスマホ”)が増えている。ことに最近は、駅のホームで、携帯機器を操作しながら画面に視線を落として夢中になっている人の姿が目立つ。しかし、便利だからといって人混みの中で画面に見入っていると、思わぬ事故につながりかねない危険を招く。
画像 国土交通省によると、2011年度に過って駅のホームから転落した人は3243人に及ぶ。その中で、携帯機器使用中のケースは18人(0.6%、前年度は11人)と決して多いわけではないが、2010年5月18日には東京のJR中央線東中野駅で、下りホームの端に立って携帯電話の操作に夢中になっていた30歳代の女性が入ってきた電車に触れ、頭部を強打して重傷を負う接触事故が起きている。また、今年(2013)の5月27日には、東京のJR中央線の四ツ谷駅上りホームで小学生の男の子(10)が携帯電話を見ながらホームの端を歩いていて、過って転落する事故(幸い電車との接触は免れている)が発生している。
 筑波大教授の徳田克己氏(バリアフリー論専門)が2013年5月に、首都圏と大阪圏で電車通学している大学生650人を対象にアンケートを行ったところ、携帯機器を操作しながら歩いていて人とぶつかったり、ぶつかりそうになったりした大学生は、“よくある”“時々ある”という人も含め6割に及び、怪我をした人も15人いた。そして、その中でも携帯機器の97%がスマホだったことについて同教授は、「さまざまな機能の添付で多機能化され、画面を注視する時間が長くなっているスマホの普及度が著しい中で、“歩きスマホ”の危険度は格段に増している」と指摘する。
 こうした状況 は、障害を持つ人たちにとっては、より深刻な問題となりつつある。いつも山手線を利用している全盲のある男性(59)は、以前は周囲の人が避けてくれていたとしながら、点字ブロック上で電車を待っていると最近はまともにぶつかられることが増えたという。まさに、社会的な問題になりつつある。
画像 このような全国に広まっている“歩きスマホ”の実態に対し、はからずも日常の生活の中で危険性が増している環境から何らかの規制(参考…路上喫煙禁止条例のケース)が必要との声がある一方で、これまでは危険性への啓発が不十分でありマナーの呼び掛けが先とする声も出ている。JR東日本は今回の事故(JR四ツ谷駅ホーム転落事故)を受け、東京メトロも同様に、首都圏の主要駅や車内で「携帯・スマホの歩きながらの使用は思わぬけがや事故につながる場合があります。控えてください」といったマナー向上を促す内容のアナウンスを始めており、マナー啓発ポスターの掲出も行うなどして、危険度が高い“歩きスマホ”を控える呼び掛けを行っている。また、携帯機器大手のNTTドコモも、“歩きスマホ”は危険との問題認識の下で、ラジオ・テレビのCMや新聞の広告欄を使って「外で歩きながら使うと、とっても危ない」「危険です。スマホのながら歩き」といった、スマホ使用マナー向上の啓発に力を入れ始めている。
画像 携帯電話 やスマートフォンの携帯機器の使用形態に関連し、特に顕著なのが、鉄道の駅や電車内で見られる誰も彼もと言わんばかりに画面に釘付けの姿が展開する現象だ。そうした一種の社会現象を見せる鉄道に関連し、新聞の読者投稿欄に寄せられた意見などを次に紹介します。

危ない「歩きスマホ」やめた   (横須賀市 男子高校生18歳)
 「携帯電話を見ていた小学生が駅のホームから転落」というニュースを知りました。登下校の際、駅や電車で携帯電話やスマートフォンを常時、使用している人をたくさん見かけます。
 ある日、私は、歩道でスマホを見ながら歩いている人を見かけました。その人はスマホの画面ばかり見ていて、周りが見えていないようでした。歩道なので、いろいろな人が通るのは当たり前です。そこに自転車がやって来て、“ながら歩き”の人とぶつかってしまい、その人はスマホを落としてしまいました。
 これを見ていた私も、恐怖感を覚えました。私もスマホを持っていますが、このことから学び、“ながら歩き”をしないよう気を付けるようになりました。
 “ながら歩き”で周りが見えなくなると、自分に災いが起きたり、他人にも迷惑をかけたりすることがあります。まずは、自分自身の行動を見直すことから始めるのが大切だと思います。

迷惑客を説得し続けた駅員  (埼玉県 会社員男性57歳)
 仕事を済ませ、JR武蔵野線南浦和駅のホームに降り立つと、反対側のホームで罵声が聞こえた。酔っぱらい同士の騒ぎかと見ると、ベンチで老人がタバコを吸い、JR東日本の若い女性職員が腰を屈めてしきりに他のお客様に迷惑だからタバコを消すようにと説得していた。
 素直に消せばよいのに、意地を張ったのか老人は「昔は吸えた」「迷惑している人がどこにいる」などと怒鳴りながら吸い続けた。若い女性職員は説得を続けた。
 心配しつつ見ていると、駅の警備員2人が到着。3人がかりで説得しても吸い続け、吸い殻を足で消してやっと終わった。
 たった1人で決然とした態度で優しく説得し続けたJRの若い女性職員の方、お疲れさまでした。ホームにいた大勢のお客さんはきっと、心の中で皆応援していたと思う。

迷惑客 傍観せず声上げよう   (東京都 会社員女性57歳)
 「迷惑客を説得し続けた駅員」(注・前項)を読み、前に百貨店で見た光景を思い出しました。催事場で、男性店員が、中年の男性客に何度も頭を下げてわびていましたが、彼は辺り構わず大声で苦情を言い続けていました。
 そんなとき、一人の年配の女性客が「いい加減にしなさいよ。さんざん謝っているじゃない。もういいでしょ。周囲のことも気遣いなさいよ」と一喝し、落着しました。男性店員のお礼に彼女は、「この店が好きで、いつも楽しませてもらっているんだもの。当たり前よ」と、さらりと言ったのが印象的でした。
 1人で迷惑客に対応したJRの職員さんは、仕事とはいえ、辛かったと思います。ホームに大勢の客がいたなら、百貨店の女性客のように、声を出して応援してもよかったのでは。私自身もその場でできるかどうかわかりませんが、傍観せずに、なんとか声を上げたいと思っています。

衝動的な行動は逆効果では    (愛知県 建築事務所経営男性61歳)
 私鉄の電車内でのことだ。途中の駅で乗って来た70歳代と思われる男性が優先席に座るなり、携帯電話を見ていた隣の席の中年男性に「携帯の電源を切れ。ここは優先席だ。私は障害者だ」と、明らかに興奮した声で怒鳴り出した。
 相手の男性が「音は消しているし、通話もしていない」と反論すると、「私は障害者だ。携帯からは電波が出ている。電源を切るのは常識だ」とますます激高し、ついには車内の非常停止ボタンを、あれよあれよという間に押してしまったのだ。初めてとは思えない、手際のよさだった。電車が止まり、何事かと駆けつけた運転士に、中年男性の障害者への非道を訴えていた。
 マナーとしては、優先席では携帯電話を控えることになっている。だからといって、いきなり相手を怒鳴りつけ、しかも非常時でもないのに電車を止めるのはどうだろう。そうした行為は、障害者全体にとってもプラスにはなるまい。正義の怒りでも、衝動的行動に走ってしまっては逆効果になることもあるのだ。

混んだ駅でも人を敬う心を ―   (東京都 イタリア人留学生25歳)
 東京の駅はいつも混雑していて、人々は少し待つこともできずに、人の背中を押しながら歩いている。
 先日、自由が丘の駅で階段を上っているとき、階段を下りてくる人が私の前の女性を押し、そのまま何も言わないで去っていった。イタリア人はこんなに忙しい生活をしていないから、このような失礼なことはしない。間違って押してしまうことがあれば、当然謝る。
 イタリアでは、日本のように頻繁に電車は来ないし、駅も混雑しないから、私と日本人の考えを比較するのは間違いかもしれない。私の知人は、「日本の駅はいつも混雑しているから慣れるしかない」と言う。でも、相手を敬うことはとても大切なことだ。たとえ失礼なことをしてしまっても、「すみません」と一言いうだけで全然違う。どんなに駅が混んでいても、相手を敬うことを忘れてはいけない。

日本人にもある 人を敬う心   (静岡県 無職女性82歳)
 「混んだ駅でも人を敬う心を」(注・前項)は本当にその通りで、日本人は海外の人にそうした心を学ばなければいけないと強く思った。
 休みを利用して、娘とともに京都の美術館を訪れた。長蛇の列を待って美術館に入り、帰ろうとしたところ、バスも大変な混雑だった。ことごとく満員で何台も見送り、ようやく来たバスに乗ってもまだ人がいっぱいで、私は立っていた。すると、座っていた日本人の30代くらいの人が席を譲ってくれた。後で、娘から話を聞いたところ、外国人の方がその日本人の肩をたたき、私に席を譲るように言ってくれたということだった。せかせかと忙しい日本人に比べ、海外の人は人を思いやる気持ちがあることを実感した。
 ただ、静岡に帰る電車の中で高齢者に席を譲る日本人を見た。少し前には、海外の人に感心したが、日本人にも人を敬う心を持った人はいると知り、ほっとした。

電車の席のマナーは難しい   (東京都 会社役員男性69歳)
 先日、電車でつり革につかまって立っていたら、前に座っていた若い女性が、「どうぞ」と言って席を立った。生まれて初めて席を譲られ、ちょっぴり複雑な気持ちになりながら、お礼を言って座った。老人が若い人の席を奪ってしまったことを悔やみ、「今後、電車に乗るときは優先席に座ろう」と決めた。
 そして、優先席に座っていたときのこと。目の前に若い女性が立った。バッグにマタニティーマーク(妊婦)のバッジをぶら下げている。気を使わせては悪いと思い、次の駅で降りるふりをしながら、席を立った。振り向くと、妊婦さんがその席に座ったのでホッとした。「年取った者と、これからの人を比べれば、優先されるべきは後者だ」と妙な理屈をつけて納得した。電車の席のマナーは難しい。 (終)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック