小さな島から大きな問い

画像 10年に一度、世界各国のリーダーたちが一堂に会して地球の未来について話し合う、国連最大級の国際会議・地球サミット(本会合)がこの(2012年)6月20~22日にわたりブラジルのリオデジャネイロで開催される。
 地球環境の保護と途上国の発展を両立させる世界的な枠組づくりを目指し、最初の地球サミット(国連環境開発会議)は1992年にそのリオデジャネイロ(2002年は南アフリカ共和国のヨハネスブルグで開催)で開かれ、その後の人類の環境や貧困への取り組みに大きな影響を与え、人類は持続可能な世界に向け壮大な挑戦へ舵を切っている。そのときから20年を機に、再び同地でサミットが開催されることに因み「RIO+20」と銘打った今回の「国連持続可能な開発会議」は、この20年間における地球と人類の歩みを総括し、これから先10年間の社会・経済・環境のあり方を議論し約束を交わす、持続可能な発展に向けた新たなスタートを切る大切な会議と位置づけられている。

 地球の未来について国際的に話し合う会議の嚆矢となった、20年前の開催地・リオデジャネイロで、世界に大きな衝撃と感銘を与えた「伝説のスピーチ」が生まれた。当時12歳の一少女が、世界各国からの要人を交えた大人たちの参加者を前に披露した、感動のスピーチだ。その内容を要約し、次に掲げる。

                      ☆ スピーチの要約 ☆  (1992年・リオデジャネイロ)
こんにちわ、セヴァン・スズキです。カナダの12歳から13歳の子どもたちの集まりである子供環境運動を代表してお話しします。是非、大人たちに生き方を変えていただくようお願いするために、自分たちでお金を貯めてカナダから1万キロの旅をして来ました。
 私がここに立って話をするのは、未来に生きる子どもたちのためです。世界中の飢えに苦しむ子どもたちのためです。そして、もう行くところもなく、死に絶えようとしている無数の動物たちのためです。

 私たち子どもの世代には、夢があります。いつか野生の動物たちの群れや、たくさんの鳥や蝶が舞うジャングルを見ることです。でも、今の私たち子どもの世代では、もうそんな夢を持つことも出来なくなるのではないか。あなたたちは、私ぐらいの歳のときにそんな心配をしたことがありますか。こんな大変なことが物凄い勢いで起きているのに、私たち人間はまるでまだまだ余裕があるようなのんきな顔をしています。まだ子どもの私には、この危機を救うのに何をしたらいいのか分かりません。
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 私は、子どもだから解決策は知りません。でも、大人も、同じように解決策は知らないのだとわかって欲しいのです。オゾン層に空いた穴をどう塞ぐのか、死んだ川にどのようにサケを呼び戻すのか、絶滅した動物をどうしたら生き返せるのか、そして、砂漠となってしまった場所にどう森を蘇させるのか、大人のあなたたちも知らないでしょう。どう直すのかわからないものを壊すのは、もうやめてください。

 私は、まだ子どもですが、私たちはみんなが同じ大きな家族の一員であり、一つの目標に向け心を一つに行動しなければならないことを知っています。50億人の人間からなる大家族、いえ、3千万種類の生き物からなる、同じ空気と水と土を分け合っている大家族です。国境や各国の政府がどんなに私たちを分け隔てようとしても、このことは変えようがありません。

 学校で、いや、幼稚園でも、大人たちは私たち子どもに教えてくれます。人と争わずに尊重し、物を片付け、生き物をいじめずに、欲張りをしないように、と。では何故、みなさんは、私たち子どもにするなと言うことをするんですか。
 みなさんはこうした会議で、子どもがこれからどんな世界で生きていくのか、決めようとしています。親たちはよく私たちに、心配することはないよと言いますが、今、本当にそう言えますか。そして、私たち子どもの未来を真剣に考えたことがありますか。みなさんが、私たち子どもを愛するなら、行動で示してください。


 20年前の地球サミットで行われたこの一少女の短いスピーチは、会場に参集していたすべての有識者たちに大きな感銘を与え、壇上を後にする少女に万雷の拍手が送られた。そして、“世界を5分間沈黙させた少女”として世界に感動を与え、後に「伝説のスピーチ」と呼ばれたのである。
 その少女こそは、現在、カナダのバンクーバーから軽飛行機で2時間ほどのカナダ西岸に位置する「ハイダグワイ」という小さな島(四国の半分強ほどの面積におよそ4千人ほどが住み、林業・漁業・観光が主産業)に、2歳半の長男と生後4ヵ月の次男に囲まれ家族4人で在住するセヴァン・カリス・スズキさん(32)である。

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                            〈 セヴァンさん(右)とその家族 〉
“ハイダグワイ”と聞いても、日本での認識はほとんど薄いといえよう。最近、東日本大震災の被災地宮城県から津波に流されたコンテナに入ったハーレーダビッドソンが漂着した島としてメディアを通し時の話題になったことで、この島を初めて知り、認識を新たにした人も多いのではないだろうか。
 セヴァンさんは、ハイダグワイ島の自然と持続可能なライフスタイルを踏襲する先住民に魅せられ、4年半前に先住民男性と結婚してバンクーバーから同島に移り住んだ。
 セヴァンさんの父は著名な生物学者のデビッド・スズキ氏であるが、セヴァンさん自身は曽祖父母の代がカナダに移住した日系4世である。知っている日本語は少ないが、「もったいない」という言葉に象徴されるような日本の文化を尊敬しているという。ハイダグワイでも、限られた土地と産物しかない下で“取り過ぎない”という掟を先住民は厳しく守るという。何故そうした生活を貫かなければならないか? セヴァンさんは「そうしないと生き残れなかったから。日本や米国や中国の人たちがこの島と同じ生活を続けるのは無理だと思うけど、“消費し過ぎ”ではないかと、気にかけることはできるはず」と、慮る。
 長じて、実際にセヴァンさんが日本を訪れたときに見た光景には、大きな幻滅を感じたという。ゴミ箱が割り箸で溢れていたからだ。「たった15分使って捨てられる割り箸の多くがカナダ産だと聞きました。自然の恵みに感謝する、日本の伝統との落差が大き過ぎて」…。
 かつてクイーンシャーロット諸島と呼ばれた“ハイダグワイ”とは、先住民のハイダ族の言葉で「人々の島」の意味だという。遠く離れた日本とは海でつながるハイダグワイからセヴァンさんは、「ここは日本と同じ島国です。限られた土地と水と空気しかなく、何処にも逃げられないという意味で地球という星の暗喩だと思う。それを忘れないで…」と、小さな島から地球の未来へ大きな問いかけを示すかのように語る。
 まもなくセヴァンさんは、NGO代表として6千マイル彼方の小さな島からRIO+20に参加する。 (終)… 新聞記事を参照させていただいた

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