秋にときめくローカル線

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画像 暑かったさすがの夏も日に日に遠のいて、季節が秋へと入れ替わり始めた彼岸を過ぎたこの頃、すでに旅の雑誌や新聞の旅の欄では秋本番の記事を満載中だ。そうした秋めく中で、俄然その存在がクローズアップされるのが、普段は地味な存在でしかない地方の鉄道路線・ローカル線である。
 地域の足として欠かせないローカル線は、生活路線でありながらその沿線には多くの観光名所や温泉などの存在を擁し、それらが秋の澄みきった青空の下で天然の錦に染め上げられる。鉛色の冬到来を前に人々は、そんな華やぎと気持ちの充足感を求めて、短い秋の錦鮮やかな風景の中へ旅心を置くのである。
 とにかく秋は、風景も味覚も1年のうちで最も豊潤なときで、これらを全て持ち合わせているローカル線は、人々を旅へと駆り立てる主役に躍り出る。

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 秋、華々しく旅雑誌の表を飾るローカル線、この季節はさしもの新幹線も影が薄くなる。ローカル線に乗って秋の列車旅、只見線(JR東日本・会津若松~小出間)と会津鉄道(第三セクター・西若松~会津田島間)の2路線を私は推す。秋を目一杯に凝縮したような、眼前に展開する色鮮やか紅葉は見事ということに尽き、車窓から目を離す暇がないほどだ。
 しかし、沿線の秋にときめいてばかりはいられない状況が今、日本の地方鉄道を包んでいる。利用者の長期逓減傾向に歯止めがかからず、厳しい経営状況下にあるからだ。
 地方鉄道において、極めて大きな経営圧迫の要因となっているのが、コスト構造において大きな割合を占めている施設保有に係わる経費の問題である。しかも、近年の少子高齢化やモータリゼーションの一層の進展が、輸送需要の減少化に拍車をかけている。
 そうした状況の下で、事業の廃止に追い込まれる鉄道事業者も多く見られ、2000年度(平成12年度)以降この8年ほどの間に全国で25路線・574.1㎞の鉄道路線が廃止され、失われている。当然、廃止に至った場合には、バス転換による運賃上昇・所要時間増、マイカーへの転移による道路混雑、観光地や駅前商店街等の衰退化等々、地域にさまざまな影響を及ぼしていることは明らかである。

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 勿論、鉄道事業の再構築には、事業者自らにサービス向上等の取組による利用促進・経営改善を図ることが求められ、同時に補助金等の財政的支援や商店街・観光イベント等の連携による利用促進等に対する地域による支援や、国による法制度面での財政的支援を講じることも必要であろう。とにかく、人々の心に染み込む季節でもある、ローカル線の沿線が最も華やぐ秋にこそ、地方鉄道には元気になってもらいたいものである。
 ちなみに、全国の第三セクター鉄道36社が加盟する第三セクター鉄道等協議会がこのほど発表した、2007年度の36社に関する輸送実績・経営成績によれば、黒字の会社はわずか5社(北越急行・智頭急行・鹿島臨海鉄道・伊勢鉄道・愛知環状鉄道)に過ぎない。この黒字5社による経常利益は合計21億1000万円であったが、赤字31社による経常損失は32億4000万円に及ぶ。このうち、1億円以上の損失を計上した会社は13社に上る。

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画像 毎日の通勤・通学や買い物で、電車に揺られているとつかの間とはいえ、ふと何処かへこのまま行ってしまいたい誘惑や衝動に駆られた経験を、一度は誰しも持ったことがあるのではないだろうか。ついつい列車に乗ると旅心をそそられ、見知らぬ地へ行ってみたくなる…秋とはそんな季節でもある。
 地平には実りの稲穂が黄金色に揺れ、山間は錦に彩られてときめくローカル線の沿線、されどその背後にはモノトーンの冬がその支度を整えつつあることも心して、短い秋をローカル線に乗って満喫したいものである。
 さて、旅支度でも急がねば…。 (終)

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