在りし日
鉄道駅等バリアフリー化の現状
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作成日時 : 2008/06/26 18:44
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若男女を問わず不特定多数の人が毎日利用する鉄道駅等では、近年の日本が諸外国に例を見ないほどの少子高齢化が急速に本格化している中で、バリアフリー環境の整備が急務となっている。
総務省統計局のデータによれば、65歳以上の人が全人口に占める割合が1985(昭和60)年に約1割(10.3%)であったものが、20年を経た2006年には2割(20.8%)を超えた。この先2015年には、国民の4人に1人が65歳以上の高齢者という、まさに高齢化社会の到来が確実視されているのだ。
また近年は、身体障害者も健常者と同じように社会のあらゆる活動に参加・参画でき、その能力発揮を容易にして自己実現を可能ならしむる社会の配慮が強く求められていると同時に、「ノーマライゼーション」の理念が社会への浸透を見せている。こうしたことから、高齢者や身体障害者等が自立した日常や社会生活を送ることができる環境づくりの整備が急務となっている。
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のような社会の背景に鑑み鉄道駅等では今、高齢者や身体障害者等の移動(利用)に関して利便性と安全性の向上を図るため、バリアフリー化推進の取組が進行中である。
そもそもバリアフリーに向け、鉄道駅等におけるエレベーターやエスカレーターなどの整備が本格的に進み始めたのは、“福祉元年”などといわれた日本が高度成長を続けていた昭和40年代頃からであった。そのバリアフリー化の促進が公共交通事業者に義務づけられたのは、2000(平成12)年3月に施行された俗にいう「交通バリアフリー法」(「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」)による法制化によってであった。
これによって、公共交通事業者等には公共交通機関における鉄道駅等の旅客施設を新設または大規模改修をする際には、バリアフリー化基準(公共交通移動等円滑化基準)への適合が義務づけられると同時に、既設の施設等についても同基準適合の努力義務が課せられた。
すなわち、新設の駅等については全てバリアフリー化が図られることになるが、既設の駅等については努力義務というあなた任せ的な範疇であるため、バリアフリー化を如何に推進していくのかが課題として残ることとなった。そのため、既設の駅等については、交通バリアフリー法に基づく基本方針に“1日当たりの平均利用者数が5000人以上の鉄道駅等については2010年までに原則全てをバリアフリー化する”との目標が設定されて、その実現に向け行政・鉄道事業者双方による取組が鋭意進行されている。
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なみに交通バリアフリー法の目的は、公共交通機関を利用する高齢者や身体障害者等の移動に関わる身体負担を軽減し、その利便性と安全性を向上することにある。そのため、鉄軌道事業者には旅客施設・車両の一定基準の適合・推進、高齢者・身体障害者に必要な情報提供、高齢者・身体障害者対応に関する社員教育の実施が規定されている。また、この法律でいう“バリア”とは、移動制約者が社会生活をしていく上で障害(バリア)となるものを総称している。
すなわち、物理的バリア(対車椅子利用者等の段差・隙間)、情報バリア(対視覚・聴覚障害者等の案内)、心理的バリア(無理解・差別等)、制度的バリア(身体的障害等を理由に就けない職業等)などに大別され、これらを取り除くことを“バリアフリー”と呼ぶ。
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道駅等のバリアフリー化に関しては、“バリアフリー”という概念が社会的に浸透していなかった時代に設計・建設された構造物が大半であり、バリアフリー化にあたっては施設の複雑化などでさまざまな付帯工事を伴う場合が多く、その費用も嵩むことで簡単にはいかないのが実情だ。その上、バリアフリー化の必要性は高く避けては通れないものの、設備投資(バリアフリー化)に見合う収益性に関しては期待し難い(利用者増や増収効果に必ずしもつながるものではない)ため、鉄道事業者の自主的整備を誘いにくい分野ともなっている。
こうしたバリアフリー化への投資機運を盛り上げる措置として、そこには当然支援制度等の用意が必要で、国ではその補助制度として「交通施設バリアフリー化設備整備費補助金」(バリアフリー化整備費補助金)と「鉄道駅移動円滑化施設整備事業費補助」(移動円滑化整備事業費補助)という2つの支援制度を実施している。
ちなみに2008年度予算では、昨今の厳しい国の財政事情の下で、バリアフリー化整備費補助金として31億5000万円、移動円滑化整備事業費補助には24億円が計上され、併せて約140駅についてバリアフリー化事業の実施が予定されている。
一方で、地方鉄道が直面している経営の苦境下にあって、地方都市で地域の拠点的役割(交通や観光等)を果たしている駅のバリアフリー化が進まないといった実態が顕在化しているという。こうした地方のバリアフリー化を促すため、1日当たりの平均利用者数が5000人に満たない鉄道駅であっても、地域の拠点性が高く、地域の強い要望があり、地元の協力が得られる駅については支援の充実を図るとしている。
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道駅等バリアフリー化の整備状況は、2010年度までに原則として全てバリアフリー化を図るとしている1日当たり平均利用者数5000人以上の鉄道駅については、これまでの取組により2006年度末時点で約63%の駅で段差の解消が行われている。また、バリアフリー化基準に適合してはいないが、実質的に段差解消が図られていると見なされている駅を含めると、71%の整備割合となっている。
ただ、整備目標まで残り3年を切る中で、駅構造の物理的制約などからエレベーターやエスカレーターなどの設置が技術的に困難なケースや、地元との協議が難航しているケースが表出している。これに対して国(国土交通省)としても、制約要因の具体的な解決策や新技術適用の可能性を積極的に検討したいとしている。
高齢化社会の到来やノーマライゼーション理念の社会浸透が進む現代にあっては、高齢者や身体障害者等が自立した日常生活・社会生活を営める環境づくりが最早必要不可欠となっている。勿論、鉄道駅等バリアフリー化への積極的な対応は公共交通機関の責務でもあるが、バリアフリー化は近代公共交通機関の要であると同時に、その評価にもつながる対社会への貢献的要素である。
(終・JRガゼット参照)
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