在りし日
地域公共交通の今
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作成日時 : 2008/06/21 18:01
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域公共交通の活性化・再生の問題が、今、クローズアップされている。そして、地域住民の足でもあるローカル鉄道の廃止が続く中で、茨城県ひたちなか市で茨城交通湊線として長らく営業してきた勝田駅と阿字ヶ浦駅間(14.3q)を結ぶローカル鉄道が、市民の果敢な後押しで廃止の危機を乗り越え2008年4月1日に第三セクター「ひたちなか海浜鉄道」として、新しいスタートを切っている。地域が主体的に関わることで、地域主導型の運営を行うという新しい事業形態を活かしての“出発進行”である。ただ、厳しい道のりが続くことに変わりはない。
ここ十数年来、モータリゼーションの進展や大都市部への人の流出、少子高齢化などで公共交通はその利用者数を減らしているが、特に、地方部の公共交通は自動車交通との競合に敵わず、衰退化傾向が続く。全国に目を向ければ、2000年3月からの8年間で14のローカル鉄道が廃止となり、10の路線が一部線区の営業を廃止している。前述のひたちなか海浜鉄道が走る茨城県では、2005年に日立電鉄(18.1q)が、2007年には鹿島鉄道(27.2q)が姿を消している。
ちなみに新会社移行前の茨城交通湊線当時は、1970年代に年間350万人を数えた利用者もマイカーへのシフトや少子化などで利用者の減少傾向が顕著となって、2005年度には70万人と大幅に減少、当然に赤字も累積することとなって、茨城交通は2005年12月に湊線廃線の意向を表明していたのだ。
地
域公共交通は、従来から国や地方行政からの財政支援によって、青息吐息ながらも維持されてきた。しかし、2000年代に入って運輸事業に対する規制緩和が進んだことで、不採算路線からの撤退が容易(交通大臣の“認可”から同大臣への“届出”へ変換)になって、地方部におけるJRをはじめ民鉄や第三セクター、バス路線で廃止が相次いでいるのだ。こうした中で、地方部にあっては過疎化とともに急速に進む高齢化で、住民生活の足の確保がより大きな課題となっている。
一方で近年、行政の地方分権化議論の高まりで地域の問題を自ら主体的に解決しようという機運が昂進し、地域住民の足を確保するのは地方行政の責務であるとする考え方が強まりつつある。特に、交通問題を都市や福祉に対する政策などと結びつけて考える自治体が増えていると同時に、クルマ主体の生活から主要施設の郊外化で衰退した中心市街地の再活性化を図るためのツールとして、公共交通の新たな在り方を模索する動きも全国のあちこちであまねく起きている。
とりもなおさず、こうして動きは日本の社会情勢(モータリゼーションや少子高齢化)に照らしても地域公共交通の活性化・再生に避けては通れない、地方はもとより国にとっても大きな課題なのだ。こうした現状を受けて、地方自治の取組を国が総合的に支援し、地域のニーズに適した公共交通の新たな輸送形態・輸送サービスの導入をさらに円滑化する目的で、2007年10月1日に施行されたのが「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」である。
同
法は、市町村区域内における公共交通の活性化・再生を図ることを目的として、2つの柱から構成されている。
その一つは、地域交通に最も密接に関連を持つ市町村が主体となって、地域住民の意見を反映させた「地域公共交通総合連携計画」(総合連携計画)を作成、LRT(次世代路面交通システム)やBRT(バス専用レーン・公共車両優先システムを組み合わせた高次元機能バスシステム)、海上輸送高度化事業、乗り継ぎ円滑化事業、鉄道再生事業(廃止相当鉄道事業維持を図る支援事業)等あらゆる交通事業計画の実施をより可能としている。
もう一つは、DMV(軌道・道路双方走行車両)やIMTS(磁気誘導専用道路・一般道路双方走行車両)および水陸両用車といった複数の輸送モードにまたがる輸送機関の運送事業(新地域旅客運送事業)導入円滑化に係わる特例の設置である。
すなわち、前記の運送事業の実施にあたって作成する事業計画について、国土交通大臣の認定を受けたことで関連する諸法による事業認可を受けた者と見なし、また、前記運送事業の運賃・料金を同大臣に届け出たことで各事業法による届出をした者と見なすという、事業計画推進の簡略・迅速化を図るための特例措置である。
これに併せ、地域公共交通の活性化・再生に関連する対事業費予算を必要に応じ重点配分する等の配慮も可能な限り行うとしている。こうした、法律による特例措置や財政支援措置は、地方公共交通の活性化・再生に係わるさまざまな取組が全国的に推進されることを期待して導入された、特に地方の運送事業を活性化する国による支援スキームである。
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輸事業者に公共交通の供給・維持の責務があるものの、先に述べた規制緩和が不採算路線の廃止を促進させ、特に著しい利用者減に見舞われている地方の公共交通がその俎上に挙げられている。こうした状況にあっても、従来においては地域行政が公共交通の供給に実体的役割を演じたケースはほとんどなかったのが実情だった。
そんな実情の下で、富山市(富山県)が2006年にJR(西日本)から地方交通線の富山港線(約10q)の移管を受けLRT化して整備(第三セクター化)し、同市が目指すコンパクトな街づくりの再生施策に寄与させたことは、地域公共交通の新しい在り方を模索した先進的事例であった。
この例から推測されるのが、とりわけ利用者が少ない地方部のJR路線(地方交通線)においては、地域との連携は勿論のこと、当該路線を含む地域の活性化や路線維持の方策を考えていかなければならないケースが増えると予測できる。勿論、そのためには地方路線に関する情報の開示がこれまで以上に必要(求められる)だろうが、JRとしても地域交通のモードに適った輸送形態やノウハウの提供が、地域活性化の上からも必要となろう。
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域公共交通の活性化及び再生に関する法律」の施行を機に、かねてから栃木県宇都宮市や東京・豊島区、大阪・堺市などが自治体主導で進めているLRTの導入が加速されて本格化し、また、地域中心の公共交通計画の立案も勢いを増していくことだろう。同時に、モータリゼーションや少子高齢化などを背景にさらに地域公共交通の在り方に関する議論も進む中で、日本の交通政策を考える上で中枢的存在の、また地方交通の担い手でもあるJRに対して、より積極的な同法に対する関わりの期待が持たれることだろう。
地方公共交通の“今”は、苦境の中で維持・存続をかけて懸命に頑張る地方鉄道の存在と、将来の展望に向け公共交通の新計画立案に取り組む地方都市の表出を見る、両極面の展開を示しているといえよう。
(終)
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