在りし日
♪〜汽笛一声新橋を…鉄道唱歌有情
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作成日時 : 2008/05/17 16:42
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“明治”という遠い時代を知らない人でも、“♪
汽笛一声新橋を/はや我が汽車は・・
”の歌い出しやメロディを聴けば、あゝあの歌か…と、明治時代につくられたと知らずとも馴染みが深いのではないだろうか。明治、大正、昭和、平成と、1世紀以上にわたって歌い継がれている、あの「鉄道唱歌」である。“唱歌”といっても、学校の教科書に載っているような歌ではない。
なぜ、こんなにも長い時代、世代にわたって歌い継がれてきたのだろうか。それは、おそらく詞が七五調で流暢なこともあって覚えやすく、歌い込まれた数行の詞の内容が、鉄道の走るその土地その場所の様子を心の中に彷彿と浮かび上がらせてくれるからであろう。それがまた、旅にでも出たい気分を誘い出して、一時の旅路を味わえるからではないだろうか。
この鉄道唱歌が冊子として刊行されたのは1900(明治33)年で、1世紀を優に超える。
鉄道唱歌は、「地理教育鐵道唱歌第一集」として大阪の楽器店店主(三木佐助)によって刊行された。それまでにも、汽車を題材にした、あるいは駅を織り込んだ歌はいくつか発表されてはいたらしいが、大流行したのは鉄道唱歌が初めてだったとされている。この鉄道唱歌第一集の小冊子は、発売されるやたちまちのうちに70万部も売り上げるほどの、当時としては大ベストセラーだった。
当初は、“東海道編”だけであったが、予想外の好評を得たこともあって第二集山陽・九州編、第三集奥州・磐城編、第四集北陸編、第五集関西・参宮・南海編と、相次いでの刊行となった。
こうした好評を博した裏には、当時はまだ鉄道が国有化(1906
(明治39)
年3月)前であったが、鉄道路線も全国各地へ延びて行き、それに連れ人々の汽車(鉄道)への関心が高まりつつあったところへの刊行という、巧みな販売戦略があったともされている。
作詞者は、詩人・作詞家・古文学者として知られた愛媛県出身の大和田建樹
(たけき)
(1857〜1910)。作曲は、東京音楽学校教授の上 真行
(さねつら)
と大阪師範音楽教師の多 梅稚
(おおの うめわか)
の二人に競作させたが、多 梅稚のメロディがヒットしたという。勿論、まだテレビやラジオさえもない時代にあっては、全国津々浦々で歌われていたことはまさにクチコミ以外にはなく、一度聴いただけですぐに覚えられるメロディの出来も幸いしたのであろう。
“汽笛一声”と歌われた新橋駅(旧)は、1914(大正3)年12月20日に日本の中央ステーションとして開業した東京駅に、東海道線の日本の鉄道草創期からの起点(駅)を譲った。同時に旧新橋駅は、“汐留”と改称されて貨物駅へと衣替えとなり、国鉄末期の1986(昭和61)年10月末限りで廃止となった。
1957(昭和32)年10月の鉄道85周年のとき、鉄道唱歌が歌い継がれてきた昔を偲んで、現在の新橋駅烏森口に旧新橋駅を象徴して「鉄道唱歌の碑」が建てられた。
鉄道唱歌は、リズミカルな曲調であると同時に、その詞が駅名を詠み込んでいるばかりでなく、その地域の名所、風景、地理、歴史、民謡、伝説、特産物までもが歌い込まれているという、桁外れのスケールで知られる歌でもあるのだ。そして、さらに、鉄道旅行案内としての役割をも果たしていたのである。鉄道唱歌は、鉄道象徴のメロディとして、これからも響き続けることであろう。
そして、“♪〜月を旅路の友として”・・ロマンに満ちた列車旅に出たいものである。
−2008.5−
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